1月21日、鉄道総合技術研究所と台湾鉄道が技術協力協定を締結していたことが分かった。

これまで日台間の鉄道関係の提携は、本会の調査では1986年1月25日に大井川鐵道と阿里山森林鉄道が姉妹鉄道を結んで以来、昨年(2015年)12月21日に山陽電鉄と台湾鉄路管理局の観光連携協定締結まで16件を数える。

その中には、JR四国の松山駅と台湾鉄道の松山駅、山陽電鉄の亀山駅と宜蘭線の亀山駅、東京駅と新竹駅、大阪駅と台北駅の姉妹駅提携も含まれている。

だが、今回は技術協力協定だ。超電導リニア(磁気浮上式鉄道)や自動列車制御装置、台湾にも輸出している振り子式車両などを研究開発してきた鉄道総合技術研究所と台湾鉄道による協定で、これまでの観光客の誘客を意識した鉄道提携とは異なる。

また、3月下旬には、静岡県遠州地方の浜名湖北岸の掛川駅から新所原駅までの67.7キロメートルを走る「天竜浜名湖線」が、川勝平太知事が立ち会って台湾鉄道と友好協定を結ぶという。

静岡県は台湾との交流に熱心で、川勝知事は2013年4月22日に都道府県で唯一、駐在員事務所「ふじのくに静岡県台湾事務所」を開設し、2014年2月にはこれもまた日本の自治体として初めて、台北市、新北市、台南市、桃園県、基隆市、嘉義県の6自治体と「防災に関する相互応援協定」を締結している。

静岡県の袋井市はまた二峰圳という地下ダムを屏東に造った鳥居信平(とりい・のぶへい)の出身地。後藤新平や新渡戸稲造の胸像をつくている許文龍氏が自らこの鳥居の胸像もつくっている。

本会HPやメールマガジン『日台共栄』で何度もお伝えしているように、昨年12月までに台湾と姉妹提携している日本の鉄道は16件となっている。それも2013年以降が15件もあり、近年の日台鉄道交流がいかに頻繁に行われているかがわかる。いよいよ核心に入ってきた感が強い日台の鉄道提携だ。心から祝意を表したい。

下記に、二つの協定関連記事とともに、改めてこれまでの「台湾と姉妹提携する日本の鉄道」を紹介したい。

1)1986年01月25日 大井川鐵道と阿里山森林鉄道が姉妹鉄道提携
2)2013年04月20日 黒部峡谷鉄道と阿里山森林鉄道が姉妹提携
3)2013年04月23日 江ノ電と平渓線が観光連携協定
4)2013年10月13日 JR四国の松山駅と台湾鉄道の松山駅が姉妹駅提携
5)2014年04月30日 秋田の鳥海山ろく線(由利高原鉄道)と平渓線が姉妹鉄道協定
6)2014年10月28日 千葉のいすみ線と集集線(台湾鉄道)が姉妹鉄道協定
7)2014年12月22日 山陽電鉄と宜蘭線(台湾鉄道)が姉妹鉄道協定
8)2014年12月22日 山陽電鉄の亀山駅と宜蘭線(台湾鉄道)の亀山駅が姉妹駅提携
9)2015年02月12日 東京駅と新竹駅が姉妹駅提携
10)2015年02月26日 京浜急行電鉄と台湾鉄路管理局が友好鉄道協定を締結
11)2015年03月14日 西武ホールディングスと台湾鉄路管理局が友好協定を締結
12)2015年03月14日 西武鉄道が台湾鉄路管理局と姉妹鉄道協定を締結
13)2015年09月04日 長良川鉄道と内湾線が姉妹鉄道協定を締結
14)2015年12月04日 大阪駅と台北駅が姉妹駅を締結
15)2015年12月18日 東武鉄道と台湾鉄路管理局が友好鉄道協定を締結
16)2015年12月21日 山陽電鉄と台湾鉄路管理局が観光連携協定を締結


鉄道総研、台湾鉄路との技術協定を締結

【RESPONSE:2016年1月27日】

鉄道総合技術研究所(鉄道総研)は1月25日、台湾鉄路管理局と技術協力協定を締結したと発表した。

鉄道総研によると2014年、台湾鉄路からの依頼を受け、電車線設備故障に関する技術協力を実施した。その後、台湾鉄路が包括的な技術協力協定の締結を提案。今年1月21日、台湾鉄路の周永暉局長と鉄道総研の高井秀之専務理事が協定文書に署名した。双方の専門家間での情報交換などを行うという。具体的な技術協力の実施分野は今後協議する。

鉄道総研は1987年、旧国鉄の鉄道技術研究所を引き継ぐ形で発足した研究機関。鉄道総研は「台湾鉄路管理局と技術協力関係を構築することは、鉄道総研および日本の鉄道の今後の海外展開に資する」と判断して協定を締結したとしている。


天竜浜名湖鉄道と台湾鉄道が友好協定締結へ

【中日新聞:2016年1月25日】

天竜浜名湖鉄道(天浜線、本社・浜松市天竜区)と台湾公営の台湾鉄道(台鉄)が友好協定を結び、ローカル鉄道の魅力を発信して両鉄道に乗客を呼び込む企画を始める。天浜線の活性化を促進する県議会の議員連盟が26日から5日間、植田基靖社長らとともに台鉄のローカル線を視察。3月下旬に川勝平太知事が台湾を訪れ、協定締結に立ち会う。

台湾中部の台鉄彰化駅の近くには、日本が統治していた大正時代に建てられた車庫が台湾で唯一残っている。転車台の周りに線路が扇形に並んだ造りが特徴で、天浜線天竜二俣駅に残る国登録有形文化財の転車台や扇形車庫と似ている。協定では2つを「姉妹車庫」とし誘客を進める考えだ。

台鉄は日本の鉄道各社と友好協定締結を進めている。ローカル線では江ノ島電鉄(江ノ電、神奈川県藤沢市)が台鉄平渓線と2013年4月から、江ノ電の一日乗車券を見せると平渓線の一日乗車券がもらえ、その逆もできるサービスを実施している。天浜線も江ノ電の取り組みなどを参考にローカル線同士の交流を深めていく。