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31日昼には、1668名の学者の署名で「国内外学術界後援会」が発足した蔡英文・陳建仁コンビ

投開票まで残り2週間強となった総統選挙・立法委員選挙に関する最新の調査結果が本日発表された。調査機関は、信頼性に定評のある「台湾指標民調」

1月16日に投開票される選挙では、民進党の蔡英文・陳建仁候補の独走状態が続いているため、関心は立法院において民進党が過半数を占めるかにも注がれている。

仮に民進党単独で過半数に届かなくとも、連携する新興政党「時代力量」が健闘すれば、連立での過半数超えも考えられる。

奇しくも本日付の朝日新聞に鵜飼啓・台北支局長が「新政党」に焦点を当てた記事を掲載しているのであわせて下記にご紹介したい。

台湾では投票日の10日前を過ぎると、いかなるメディア・調査機関も政党や候補者に関する支持率調査結果などの数値を発表するのが法律(総統副総統選挙罷免法第52条第2項)で禁じられているため、「台湾指標民調」が調査結果を発表するのは今回が最後となっている。

1、総統副総統選挙(どのコンビに投票するか)

蔡英文・陳建仁(民進党) 40.1%
朱立倫・王如玄(国民党) 17.5%
宋楚瑜・徐欣瑩(親民党) 16.8%
白票あるいは投票しない 10.6%
まだ決めていない 15.1%

※各種調査結果を加味した「台湾指標民調」の独自予測では、仮に投票率を70%とした場合、蔡英文・陳建仁候補の最終的な得票率は58%を伺う勢いで、二番手の候補に400万票差をつけるものとなっている。


2、立法委員比例代表選挙
(どの政党に投票するか:議席数34)

民進党 33.8%
国民党 21.5%
親民党   6.2%
時代力量   6.1%
台湾団結聯盟   2.1%
新党   1.8%
緑党社民党聯盟   1.5%
無党団結聯盟   1.5%
民国党   1.4%      

※独自予測では、民進党16~17議席、国民党11~12議席、親民党3議席、時代力量3議席となっている。比例代表選挙では、得票率が5%に満たない政党には議席が配分されないため、台聯などは苦しい戦いを強いられているものとみられる。

3、馬英九総統に対する信任・不信任および満足度

・馬英九総統に対する信任・不信任
 信任    23.3%
 不信任   63.7%
 ※昨年同時期より信任が3ポイント上昇、不信任が3ポイント減少

・馬英九総統の政権運営に対する満足度
 満足    19.2%
 不満足   71.5%
 ※昨年同時期より満足が2.4ポイント上昇、不満足が3.7ポイント減少

・2015年の馬英九政権を採点(100点満点で60点以上が合格とすれば、今年の馬英九政権は合格か)
 不合格   61.6%(昨年同時期69.2%)
 ※調査全体の平均点は46.4点(昨年同時期43.6点)。ただ、国民党支持者による平均点は64.8点(昨年同時期56.7点)で調査対象のうち唯一合格点をつけている。


(2016台湾総統選)占拠から選挙へ、新政党 学生運動など背景、議員選「第3勢力」

台湾総統選(1月16日投開票)と同時にある立法委員(国会議員)選で、昨年の学生運動などで盛り上がった市民の政治参加を背景に生まれた新政党が存在感を見せている。政権復帰が濃厚な最大野党・民進党と連携し、与党・国民党の包囲網を築いている。

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朝日新聞HPより

「ほぼ互角の戦いだと思う。当選の可能性はある」。台湾中部・台中の第3選挙区で立法委員に立候補した新政党・時代力量の洪慈庸氏(33)は手応えを語る。これまで選挙に縁がなかった洪氏だが、6期目を目指す国民党の現職を相手に健闘が伝えられている。

一昨年の夏、台湾で一人の若い兵士がしごきで死亡し、社会を大きく揺るがせた。連日テレビカメラの前に立ち、軍の責任を問い続けたのが、兵士の姉である洪氏だった。台北で開かれた追悼集会には25万人とも言われる人が集まった。市民が政治に声を上げる「公民運動」の大きなうねりとなり、学生たちが立法院(国会)議場を占拠したひまわり学生運動にもつながった。

時代力量は公民運動が発展した「第3勢力」と呼ばれる新政党で、市民の政治参加拡大などを旗印にする。学生運動を支えた黄国昌・元中央研究院研究員や、有名メタルバンド「閃霊(ソニック)」のボーカル、林昶佐氏も同党から立法院選に出ている。

時代力量が候補者を擁立したのは主に、従来国民党が強く、民進党候補の当選が困難だった選挙区だ。民進党は一部を除いて候補者擁立を見送り、共闘した。民進党への反発が強い有権者でも、新政党なら浸透が可能との考えだ。時代力量の候補者らは民進党の総統候補、蔡英文主席の大型集会にたびたび登壇。民進党の地方首長も支援に回る。

こうした戦略が功を奏し、各種世論調査によると、時代力量は民進、国民両党に次ぐ第3党になる可能性がある。民進党には、立法院で時代力量などと合わせて過半数を確保できれば政権交代実現後に安定した運営ができるとの期待がある。

一方、同じく「第3勢力」の新政党・社会民主党は一部で民進党の支援を得るが、候補者調整などには応じなかった。台北で立法委員選に出た台湾大学副教授の范雲主席は「対国民党では立場が同じだが、税制改革などで政策に違いがある」と説明する。ただ民進党と距離を置いたため、支持率は伸び悩んでいるのが実情だ。(台北=鵜飼啓)