本会が戸籍問題に取り組み始めたのは5年前の平成22年(2010年)11月でした。その前年7月に、本会設立と同時に取り組んできた外国人登録証明書(外登証)問題が「出入国管理及び難民認定法」の法改正をもって解決し、やれやれと思っていたところ、2010年9月、台湾人女性と結婚したある日本人男性から妻の戸籍の国籍を「中国」にされたといって相談を受けたことがきっかけでした。

調べていきますと、戸籍において台湾出身者の国籍が「中国」とされるようになったのは、昭和39年(1964年)6月19日付で出された法務省民事局長による「中華民国の国籍の表示を『中国』と記載することについて」という一片の通達でした。

この通達が出されて以後、婚姻・帰化・養子縁組など、台湾出身者に身分関係の変動があれば、戸籍の国籍は「中国」とされてきたことが判明しました。

国会議員にご協力いただき、政府に台湾出身者の戸籍を「中国」とする根拠について「質問主意書」で問い質していただくと、やはり根拠は法務省民事局長通達でした。

その後も、台湾人女性と結婚した日本人男性や、アメリカ人と結婚した台湾人女性から同様の相談を受けました。悩みは深刻です。なぜなら、台湾人のアイデンティティに関わるからです。

日本から中国人と扱われ、台湾人としてのアイデンティティを踏みにじられるのです。例えば日本人が、アメリカの公的機関から「あなたは日本人ではなく中国人です」と言われた場合を想定してみれば、台湾人の受けた衝撃を少しは理解できるかもしれません。つまりこれは、台湾人の人権を踏みにじる不条理このうえない措置でもあるのです。

つい最近も、台湾人女性を妻にした大阪に住む日本人男性の北出哲願(きたで・あきのり)氏から「私は台湾人女性と結婚してこの問題に直面しました」「私は、戸籍における台湾出身者の国籍が『中国』から『台湾』と表記できるように改正されることを強く望みます」というお便りをいただきました。

その後、北出氏は、本会の趣旨に賛同し、法務省民事局長通達が出し直されるよう法務省に働きかけようと考え、そのためには多くの賛同者が必要ということで、自ら「change.org」というネット署名を使い、戸籍問題の解決に向けて動き出しました。10月20日のことです。

この「change.org」のネット署名では住所の記載がないため、残念ながら署名としての有効性には欠けるきらいがあります。しかし北出氏は「change.orgが多くの人々にこの問題を知ってもらう、簡単かつ最善の策だと判断」して始めています。同感です。勇気ある行動だと思います。

「change.org」を始めてから、本日でちょうど10日目。すでに2,894人の方が署名しています。本会オリジナルのネット署名開始は10月16日ですが、昨日現在で約400人。やはり「change.org」は拡散力があります。

本会は北出氏が始めたネット署名を、本会に寄せられた手書き署名や氏名と住所を記す本会オリジナルのネット署名と合わせ、法務大臣に提出します。

下記に北出氏が始めた「change.org」をご紹介します。皆さまも戸籍問題を一刻でも早く解決するため、本会オリジナルネット署名とともに、「change.org」の署名にもご協力いただきますようお願いします。

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ネット署名「change.org」における署名活動はこちら

宛先: 法務省法務大臣 台湾出身者の戸籍を中国から台湾に改正を!!

【北出 哲願 日本、大阪府】

日本の戸籍には問題があります。台湾出身者の戸籍欄は「台湾」ではなく「中国」と表記されます。

私は台湾人女性と結婚してこの問題に直面しました。自治体の窓口で戸籍表記を「台湾」に変更して欲しいとお願いしましたが、国から「中国」と表記するように言われているので、出来ないと言われました。

結婚という晴の門出だというのに、その門出において台湾出身者はこのような悲しい思いを抱かされています。

日本によって、みじめな思いをさせられています。これは、台湾人の人権をも踏みにじる不条理このうえない措置であり、必ずや解決されなければならない問題です。

なぜ台湾出身者の国籍欄に「中国」と表記されなければ、いけないのでしょうか。台湾人は、台湾人です。中国人ではありません。

私は、台湾出身者の戸籍が「中国」から「台湾」と表記できるように改正されることを強く望みます。

そのためには、法務省民事局から各自治体へ、台湾出身者の戸籍欄に「台湾」と表記できるように通達が出し直される必要があります。具体的には在留カードの「国籍・地域」と同様に、台湾と表記できるよう求めていきます。

法務省に働きかけるためには、多くの賛同者が必要です。

台湾は日本の大切な友人です。東北の震災の際、台湾の人々が世界中のどこの国よりも多額の義捐金を集め、手助けしてくれたことを忘れてはなりません。

日本と台湾の友好的かつ良好な関係を継続するためにも、この問題を放っておいてはなりません。

みなさんのひとりひとりの協力があってこそ、解決に近付きます。共感していただけたら「いますぐ賛同」をお願いします。またできる限りSNSを通じてお友だちにも教えてあげてください。

これ以上、台湾出身者にこの苦悩を感じさせてはなりません。


なお本キャンペーンは、台湾出身者の戸籍問題の解決のため以前から署名活動をしている「日本
李登輝友の会」の活動に協力する方針です。「日本李登輝友の会」によると2016年1月末に署名を
法務大臣に提出する予定です。その際、参考資料として本キャンペーンの署名を一緒に提出する予
定です。


実は私はchange.orgの署名に法的な効力が疑わしいことを、認識した上でこのキャンペーンを立
ち上げました。

署名に法的な効力を持たせるには、名前と住所が記入されている必要があります。(請願法によ
ると氏名と住所を記載した文書が求められる)

そうであるにもかかわらず、何故change.orgを利用して署名を集めるのか。

それは、change.orgが多くの人々にこの問題を知ってもらう、簡単かつ最善の策だと判断したか
らです。

このキャンペーンを立ち上げた結果、一人でも多くの方がこの問題を知り、疑問を感じ、台湾出
身者を手助けしたいと思ってもらえたなら本望です。


私は、この戸籍問題が解決するまで何があっても「台湾は台湾であり、中国ではない。台湾出身
者の戸籍を中国から台湾に改正を!!」と主張し続けます。

台湾出身者のみなさんも諦めず「台湾は台湾であり、中国ではない。台湾出身者の戸籍を中国か
ら台湾に改正を!!」と主張し続けてください。

時間がかかるかもしれませんが、みなさんひとりひとりがしっかり主張すれば、必ず実現する問
題です。

私は法務省に戸籍においても住民票や在留カードの「国籍・地域」と同様に台湾と表記できるよ
うに改正を求めます。

在日台灣人的戶籍地從中國改成台灣!!台灣就是台灣,不是中國!