2015102810月26日発売の月刊「WiLL」12月号がジャーナリストで国家基本問題研究所理事長をつとめる櫻井よしこ氏を大々的に取り上げ、「櫻井よしこさんへエール!」と銘打つ「総力大特集」を組み、その冒頭に、櫻井氏と李登輝総統の特別対談「台湾が感動した安倍総理のひと言」を掲載している。

また、9月19日に台北市内の台大医院国際会議センターで行われた台湾安保協会(羅福全理事長)が主催する国際シンポジウム「両岸関係とアジア太平洋地域の平和」において、櫻井氏が「日本の集団的自衛権と日中関係」と題して基調講演した内容を「日台で『対中包囲網』を!」と改題して掲載している。

対談は李総統のご自宅で行われたようで、対談劈頭の写真に李総統を真ん中に、左に曾文恵夫人、右に櫻井氏が写る写真が掲載されている。

対談は終始、李総統のペースで進み、櫻井氏がインタビュアーのような役割という印象を受けるが、その息はピッタリ。安倍総理の「アベノミクス」から始まり、李総統は新しい技術(イノベーション)が日本の経済成長を可能にすると提案し、その具体案として「IOT(Internet of Things)」の分野で日台の協力提携を挙げる。

また、現在の中国経済についての分析から軍備増強の話に展開し、李総統の「台湾が中国の侵略を受けた場合、最も打撃を受けるのは日本」との指摘に、櫻井氏も「台湾の重要性は机上の戦略論ではなく、日本に大変な実害が及ぶ」と応答。

話の流れは自然に李総統ご来日直前に衆議院で可決された平和安全法制に移り、李総統は「日本はもちろん、東アジアの安定に大きく寄与する」と、その成立に満腔の賛意を示す。

アメリカの内向き、中国とロシアの台頭という現状について、櫻井氏は「そうした時代に、日本がどのような方向を目指せば台湾を含めてアジアの国々を安定させられると思いますか」と質問すると、李総統は日米関係と日台関係の重要性を説く。それに応え、櫻井氏が日本版台湾関係法を制定する動きを紹介し「日本の明確な意思表示は日台双方の国益のみならず、アジア全体に希望を与えるのではないでしょうか」と述べると、李登輝総統は「是非、進めていただき、台湾を諸外国と同様に扱ってもらいたい」と応じている。

その他にも、来年の総統選挙や総統就任式までの「魔の4ヵ月問題」などについても話は及んでいる。

最後に、李登輝総統が「暴れん坊将軍」のファンだったエピソードが初めて明かされるなど、櫻井氏ならではの李総統との息の合った対談となっている。李総統と櫻井氏の生き生きとした声が聞こえてくるような対談でもある。

ちなみに、李総統が7月に来日されたとき、7月22日の午後、衆議院第一議員会館で講演されているが、その日の午前、櫻井氏は宿泊先のザ・キャピトルホテル東急の部屋まで訪ねて歓談している。

◆月刊「WiLL」12月号【特別定価820円(税込)】