20091021-01前号では、訪日中の李登輝元総統と熊本県で9年ぶりに再会し、数時間にわたって対談した模様を『新台湾論』として発表しましたが、今回はその続編が掲載されています。本会が取り組むNHK「JAPANデビュー」問題も出てきて、李登輝元総統が「『李登輝友の会』は憤慨してNHKに抗議しているらしいね」と話されたことや、高金素梅について「あれはつまらない女ですよ」との発言も紹介されたりしていて、一歩踏み込んだ内容になっています。

冒頭では、曾文恵夫人が李登輝元総統と小林氏の対談を収録した『李登輝学校の教え』を手にしているところが描かれていますが、ここでエピソードをひとつ。

今年の訪日最後の夜、李登輝元総統のホテル居室で某日本メディアとの単独会見が行われました。記者が李登輝元総統にインタビューしていると、曾文恵夫人はわざわざこの本を取り出し「この本読みましたか?」と会話に加わったのです。開いた本にはところどころに赤鉛筆の線がびっちり。「私はね、60年前に結婚した時から李登輝学校の学生なの。何にもしてないけどね」とほがらかに笑う奥様。

曾「でもねぇ、この本読むと夫は台北市長の頃から、真面目に忙しく皆さんのために働いていたのねぇというのがよく分かるわ。」

李「僕は仕事のことはほとんど言わないからねぇ」

曾「でも原稿を最初に読むのは私ですよ。たまに間違いを見つけたりして。この本(李登輝学校の教え)、中国語版出した方がいいわよ」

李「いや、もう中国語になってるんだよ」

曾「そうなの?でも私は日本語の方が読みいいわ。これなら一晩で読めるけど、中国語だと3日以上かかるわ。それにしても彼(小林氏)、とっても頭いいわね。夫と3回対談しただけでこの本一冊書いちゃった。だからね、ちょっと疲れて調子悪かったけどね、今日(午前の対談)は必ずよしりんさんに会いに行きます、と思って出掛けたのよ」

小学館『SAPIO』 2009年11月11日号