2月3日、本会を含む諸団体の共催で開催された「偽造地図を追放せよ!」緊急国民集会において全会一致で以下の決議文が採択されました。

それを受けて5日、国民集会の主催者(日本李登輝友の会、台湾研究フォーラム、メールマガジン「台湾の声」)が外務省を訪れ、福田康夫内閣総理大臣、高村正彦外相、鳩山邦夫法相、渡海紀三朗文科相宛の決議文を手交いたしました(決議文は下段に掲載)。窓口となった外務省アジア大洋州局中国課が仲介の労を取ってそれぞれに渡していただけることになりました。

外務省側との会見は1時間半以上に及び、この間、地球儀問題に縁して「台湾が中華人民共和国の領土と誤解されるのは望ましくない」とするのが外務省の見解であることを確認するとともに、主に外務省のホームページ、国家承認する「中国」の定義、地図帳表記などの問題について、当方から申し入れを行ないました。

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■外務省ホームページ問題
外務省ホームページ問題について、中華人民共和国の面積については以下のように申し入れました。

中華人民共和国の面積に台湾の面積が含まれていることは、昭和30年代から50年代の日本の地図帳を見れば明らかであり、また中華人民共和国が日本固有の領土である尖閣諸島を自国領と表明している以上、尖閣諸島の面積も含まれている可能性が大きい。従って、960万平方kmという表示は誤解を招きやすい表記であり、例え但し書きとして「中華人民共和国発表」と表示したとしても問題がある。日本は尖閣諸島問題が起こる前に、文部省検定済みの地図帳で「中華人民共和国 9561(千k㎡)」と表示しているのだから、その数字を表記すべき。

また、中国だけがクリックしても点灯しないようになっているのは、おかしい。いかにも批判をかわそうという小手先の措置。他国と同じように、中国をクリックすれば中華人民共和国だけが点灯するように訂正すべき。もし訂正できないとすれば、その理由を明示して欲しい。

以上、2つの申し入れに対して、ホームページを変更する前に日本李登輝友の会に連絡するとの返答でした。

■国家承認する「中国」の定義
一方、国家承認する「中国」の定義については、外務省の見解として「中華人民共和国と台湾も含む」と定義し、それは台湾が清国領のころだという返答でした。その際、外務省側はカイロ宣言を持ち出し「台湾は中国に返還されるのが自然なのではないか」とも述べていました。

この見解に対しては、台湾が清国から日本に割譲されて以降、大東亜戦争後の中華民国との日華平和条約の締結や日本がサンフランシスコ平和条約で台湾を放棄するまでの歴史的経緯を説明し、統治国であった日本が一度も中華民国や中華人民共和国に台湾を割譲したり返還したりしていない以上、国家承認する「中国」に台湾が含まれないことは明らかであり、カイロ宣言は関係ない。そして、これまでの中国課の職員も「日本が国家承認する中国には台湾は含まれないのではないのか」という見解だったことを明かし、日本政府が「中国」を国家承認している資料の提供を申し入れました。

この件に関しては、後日、資料を日本李登輝友の会宛にお送りいただくことを約束していただきました。

■地図帳表記問題
さらに、地図帳表記については、東京書籍(中学校用)が「1945 中国に返還」と記述していることは、明確に「間違いです」と返答しています。

それならば、外務省として外務大臣談話とか外務省の通達として文部科学省に通告すべきではないかと申し入れましたが、これに対しては明確な返答はありませんでした。
なお、外国人登録証明書や運転免許証の国籍表記についても、国民集会の資料を手渡して、改正すべき理由を説明してまいりました。

■「中国(台湾)」の意味
最後になりますが、外務省側の見解で明らかになったことの一つに「中国(台湾)」の表記があります。

この表記は、台湾に住んでいた日本人の住民票の「前住所」欄には「中国(台湾)」と記されているケースが少なくありませんが、なんとこの「中国(台湾)」という表記の意味するところは「台湾は中国に含まれる」ということだそうです。

外務省がこのように断言しているのですから、日本人住民票における地名表記問題も早急に是正すべく取り組む必要があります。

近々、外務省からの返答が届きますので、その内容につきましてはまた本HPおよびメールマガジン『日台共栄』誌上で詳細をお伝えいたします。


 決 議 文

今年1月、学研トイズなどの複数の企業が中国で生産する地球儀が、中国の指示によって台湾を中国領土と誤表記していることが発覚し、販売停止などに追い込まれたが、ここで国民の注目を集めているのが、国内企業が製作する地球儀や地図のほとんどが、台湾と中国との間に境界線を引かず、あるいは両国を同一色で表示して、台湾を中国領土として表記している現実である。

食品偽装と同列と言うべきこのような悪質な偽造地図の蔓延は、昭和47年の日中国交正常化以降に生まれた現象である。つまり中国と国交を結んで以降、台湾を中国領土と認めない立場にありながら、台湾は自国領土だとする中国の主張を敢えて明確に否定することのできない政府の媚中姿勢と無関係ではないのである。

事実、政府は明らかに、自らの見解、立場を放棄し、中国の属国さながらに、その政治的主張に従っているのだ。

たとえば外務省はそのホームページ上の地図で、長年にわたって台湾と中国を同一色で表示してきた。その間同省は、国民から誤りの指摘を受け続けながらもそれを無視し、学研地球儀騒動が発生してようやく修正に応じたものの、実際には修正と言うより、単に批判封じのため、台湾と中国とを無色にしただけであり、両国を明確に分離してはいない。地図とともに表示される中国の面積の数値も、台湾を含めたまま改めようとはせず、相変わらず国民に間違った情報を提供しているのである。

また文部科学省は教科書検定において、台湾を中国領土と表記する地図帳などの学校教科書を合格させ、長年にわたって生徒たちに誤った知識を押し付け、さらには「政府見解に従ったものであり、適切だ」とのでっち上げ説明で、自己を正当化している有様だ。

更に言えば法務省の外国人登録においても、台湾出身者の国籍を中国出身者と同様に「中国」と表記し、両者を同一国民として扱い、外国人の明確な身分を示すための登録を、自ら形骸化させている。

なぜ政府がここまで国民を欺くのかと言えば、すべては中国への配慮である。つまり学研トイズの犯したものとまったく同じ過ちを、政府が犯しているのである。学研トイズは消費者への裏切り行為を認め、その結果、同社は解散へと追い込まれた。よって次は政府の番である。

中国の嘘の宣伝を中国に成り代わって国民に押し付ける政府の犯罪を看過できない我々国民は、政府が自らの背信行為を認め、外務省、文部科学省、法務省などによる誤った措置を直ちに改めるとともに、それらの責任者を厳重に処分することを要求するものである。

以上、決議する。

平成20年2月3日

二・三「偽造地図を追放せよ!」緊急国民集会参加者一同

内閣総理大臣 福田康夫殿