20071001本会でも何度かご案内しましたように、12月18日から26日まで、東京・四谷にある日本写真会館5階「ポートレートギャラリー」にて「MY PINGTUNG─南台湾・屏東(ピントン)で暮らした9人のまなざし展」が開かれています。

これは今年3月から4月にわたる2ヶ月間、台湾屏東県政府文化局の招聘で、同県各地に滞在した9人のクリエイターが、その成果を持ち寄り「各自がそれぞれの視点と生活体験を通じ、写真や動画、文章を使って“MY PINGTUNG”を表現した、知られざる南台湾を多角的に紹介するこの作品展」です。

この9人の文編や写真をまとめたオールカラー版の『フォルモサの真珠─9人の日本人作家 屏東創作の旅』(屏東県政府文化局発行)を作品展会場で販売しています。

いったい何枚のカラー写真を使っているのか、全編にわたって屏東県内の風景や食材、パイワン族などの原住民と装飾など、まばゆいばかりの色彩豊かな写真がちりばめてあります。タイトルの由来も分かるような気がします。

また、以下の順に2ヶ月にわたった屏東での生活を綴っていて、左が日本語、右にそれを翻訳した中文を配しています。

山野修(写真家・編集者) 詩「風の記憶」
中村信子(台湾史研究家、筆名:竹中信子)「屏東二ヶ月」
平野久美子(ノンフィクション作家)「ピントンの天然力」
安西保(編集者)「臍曲がりの屏東日記」
有川真由美(フォトジャーナリスト)「はじめまして、屏東の熱き人々!」
虎谷知彦(写真家)「一生只遇一次」
島内英佑(写真家)「恒春からの旅」
高木君子(フリーライター、筆名:埴輪君子)「はじめまして、屏東の熱き人々!」
葭原幸造(旅行ジャーナリスト)「屏東逍遥」

筆力のある人々がそろっているからなのでしょうが、鮮やかな色彩の写真にも惹き込まれてついつい熟読してしまいます。

中村信子さん執筆の冒頭に、屏東に住む本会会員の王海生さんが屏東名物のマグロ像を前に掲載されていたり、大東亜戦争中、バシー海峡で米国の潜水艦に攻撃されて沈没した船から流れ着いた日本人を祀る潮音寺の写真も掲載されています。この潮音寺などはもっともっと日本で知られてよいところです。

なお、本書の最後に12枚の写真がついていて、ミシン目にそって切り取ると立派な絵葉書として使えるようになっています。本当に手の込んだ作り方をしていて、屏東県の力の入れようがひしひしと伝わってくる、嬉しい、ずっしりと手応えのある一冊です。

■編著者 屏東県政府文化局
■書 名 『フォルモサの真珠─9人の日本人作家 屏東創作の旅』(文化資産叢書274)
■体 裁 B5判変型、並製、240ページ、ISBN978-986-01-1247-4
■発 行 2007年10月刊
■定 価 250元(税込)
■版 元 屏東県政府(屏東市大連路69號 TEL:08-736-0331)

※入手をご希望の方は本会事務局までご相談ください。