【台湾の国連加盟問題報道】 (~2007年9月8日現在)

日本、国連事務総長に申し入れ「台湾問題、誤った解釈」

潘基文(パン・ギムン)国連事務総長が台湾問題の国連見解として「台湾は中国の一部分だ」と発言したことに対し、日本政府が「誤った解釈で不適切だ」との申し入れを7日までに、国連日本代表部を通じて国連に提出した。日本の対台湾窓口の交流協会台北事務所が明らかにした。米国も同様の申し入れをした。

日本政府が国連に申し入れた文書では、「台湾は中国の一部」という中国の主張を、日本は「理解し、尊重する」が、同意はしていない、などと説明している。

潘氏は7月、台湾の国連加盟申請を受理しなかった理由を記者団に問われた際、「(71年の)国連2758決議で国連は中華人民共和国が中国の唯一の合法的代表で、台湾は中国の一部だと認定した」と語った。

しかし、実際には台湾が中国の一部だと認定する決議はなく、台湾が国連に抗議した。また、米国政府も「(潘氏発言は)国連のコンセンサスではなく、米国の立場でもない」との手紙を送ったという。日米とも誤った解釈の定着を懸念しての措置と見られる。

潘氏発言の背景について、台湾側は「中国寄り」と批判するが、交流協会の幹部は「就任直後で台湾問題の微妙な法的解釈が勉強不足だったのでは」とみている。【9月8日18時49分 朝日新聞】


陳総統「あくまで推進」姿勢 国連加盟、きしむ米台

【ワシントン=山本秀也】米国と台湾の信頼関係がきしんでいる。ワシントンの有力シンクタンク、AEIが6日開いたシンポジウムで、衛星回線を通じて参加した台湾の陳水扁総統は、米国が困惑を深める「台湾」名義での国連加盟申請を、「国際的な公理と強権との戦いだ」と位置付け、あくまで推進していく姿勢を改めて明確にした。ブッシュ米政権高官が「台湾は国家ではない」とまで公言する現状では米側が陳総統の構想支持に転じる可能性はない。米台関係の修復は双方が政権交代する来年以降まで持ち越される気配だ。

ホワイトハウスによると、シンポジウムの数時間前にシドニーで行われた米中首脳会談でも、双方は、やはり陳総統が準備中の国連加盟をめぐる住民投票計画に「懸念」を共有した。オーストラリア入りして後、胡錦濤・中国国家主席は「住民投票の実施は台湾独立活動だ」と警告しており、首脳会談の結果は台湾側に厳しいものとなった。

陳総統はシンポジウムで、ドン・キホーテが登場するミュージカル「ラ・マンチャの男」の歌曲「見果てぬ夢」にたとえつつ、国連加盟は台湾住民の願望だと力説した。「一つの中国」の名の下で、加盟を妨げる中国の対応を、「強権的だ」と非難し、「海峡両岸で台湾と中国は別の国(一辺一国)だ」と述べた。

台湾が10月末までの交渉妥結を米側に求めていた新型の米国製戦闘機F16の調達問題でも、陳総統は、国連加盟の住民投票(来年3月)への反対と絡め、台湾の次期政権が発足する来年5月以降に売却する構えだと、米側を批判し、「台湾の防衛が重要で防備に協力するというなら、なぜ来年はよくて、今年はダメなのだ」と問いかけた。

1979年の米台断交後、米国内法の台湾関係法に基づいて、台湾の安全保障を支えてきた米国に対し、陳総統の“恨み節”はさらに続いた。

米台関係の現状について、「高いレベルの対話のチャンネルがないことで不要な誤解が生じている」と、総統自身が語ったことが、硬直した米台関係をよく表している。

「不要な誤解」とは、住民投票を含む「台湾」名義での国連加盟推進に対して、ブッシュ政権の高官がこのところ連発する激しい非難を指す。【9月8日8時1分 産経新聞】


<国連>潘事務総長の台湾発言、日本は同意せず

台湾の国連加盟をめぐり、潘基文(バンギムン)・国連事務総長が「台湾は中華人民共和国の一部」との見解を示したことについて、日本政府が8月、国連事務局に「見解に同意しない」と伝えていたことが分かった。日本の台湾窓口機関である交流協会台北事務所が6日、明らかにした。【9月7日23時58分 毎日新聞】


「台湾の地位、国連解釈は不適切」日本政府が異議申し入れ

【台北=山田周平】国連の潘基文(バン・キムン)事務総長が8月、国連加盟申請の審議入りを求めた台湾の陳水扁総統の書簡を「台湾は中華人民共和国の一部である」と過去の国連決議を解釈して受理しなかったことに対し、日本政府が国連代表部を通じて「台湾の地位についての解釈が不適切である」と申し入れていたことが分かった。日台交流の日本側窓口団体である交流協会台北事務所の池田維代表が6日明らかにした。【9月7日10:53 日本経済新聞】


住民投票実施を重ねて主張 国連加盟で台湾総統

【ワシントン6日共同】台湾の陳水扁総統は6日、ワシントンの保守系シンクタンク、アメリカン・エンタープライズ研究所(AEI)と台北を結ぶテレビ会議で、中国が「台湾に暮らす2300万人を国連で代表することはできない」と表明。台湾名の国連加盟を目指し、その賛否を問う住民投票を来年3月の総統選と同時に実施する意向を重ねて示した。

中国の胡錦濤国家主席とブッシュ米大統領は6日、シドニーでの首脳会談で足並みをそろえて、住民投票実施に対し厳しく警告したばかり。陳総統はこれに反発した形で、台湾をめぐる「現状維持」を望む米国や、台湾を自国領とする中国との対立をさらに深めそうだ。【9月7日 10時23分 共同通信】


台湾の地位解釈は不適切=日本が国連に申し入れ

【台北7日時事】日本の対台湾窓口、交流協会台北事務所は7日までに、台湾の国連加盟問題をめぐり潘基文国連事務総長が「台湾は中国の一部」との見解を示したことについて、日本政府が8月に「この解釈は不適切と考えている」と申し入れていたことを明らかにした。【9月7日8:14 時事通信】


台湾の国連加盟申請不受理 「不適切」政府申し入れ

【台北=長谷川周人】台湾が独自で行った初の「台湾」名義による国連加盟申請に対し、潘基文事務総長が国連は「一つの中国」政策を維持しているとして申請書を不受理としたことを受け、在国連日本代表部は国連事務局に対して先月、「台湾に関する地位認定の解釈が不適切だ」という異例の申し入れを行った。日本の在台代表機関に相当する交流協会が6日、明らかにした。

1972年9月の日中共同声明で日本は、中国が主張する「一つの中国」を「理解し、尊重する」として、「同意を与えていない」というのが基本的な立場だ。これに対して国連が、事務総長見解として「一つの中国」政策を国連全体の解釈とするのは「不適切」という日本政府の認識を明確にした形だ。

申し入れは米国に続いて約半月前に行ったもので、日本代表部は台湾の戦後の帰属問題に関しても、「サンフランシスコ講和条約で台湾を放棄したが、どこに帰属すべきかは言うべき立場でない」という日本政府の基本認識も伝えた。【9月7日 産経新聞】


国連加盟へ15日デモも…台湾、米反対にも姿勢崩さず

台湾の陳水扁政権が「台湾」名義での国連加盟に向けた動きを本格化させている。15日には南部の高雄市で加盟の賛否を問う住民投票を推進する大規模デモを計画しており、米中は一連の動きを「台湾独立につながる」とみなして強硬に反対している。

台湾(中華民国)は中国(中華人民共和国)と「中国の代表権」をめぐる争いに敗れ、1971年に国連を脱退した。陳政権は今回初めて、「中華民国」による国連復帰ではなく、「台湾」としての新規加盟を求めている。

国連は先月29日、台湾と外交関係があるパラオなど16カ国が提出した台湾の加盟案を各国に提示した。18日から始まる国連総会でこの加盟案について審議されるが、与党・民進党関係者も「実現は難しい」と認識している。

それでも陳政権が加盟に固執するのは、台湾と中国が「別の国」であると強調することで、来春の総統選挙に向けて支持基盤である独立派の票を固める狙いがある。

しかし、こうした陳政権の動きに米中は神経をとがらせている。中国の王光亜・国連大使は「(加盟案は)台湾独立をつくり出すものだ」と非難。米国も「住民投票は台湾独立宣言に向けた一歩。台湾は挑発的な行動を取るべきではない」(ネグロポンテ国務副長官)と強い調子で批判している。

国際社会の圧力は強まる一方だが、陳政権は「台湾は主権独立国家。申請して国連加盟国となる権利を有する」と譲歩する気配はない。来年5月に任期切れとなる陳総統も独立派に対する影響力保持を考えるとこの問題で妥協はできず、強硬姿勢を貫くとみられる。(台北 時事)【9月5日 FujiSankei Business i.】