【台湾国連加盟に関するFAQ】 (台北駐日経済文化代表処 2007年9月7日発表)

Q1:台湾は主権独立の国家といえますか?

A1:台湾はもちろん主権独立の国家です。その理由は次の通りです。

1、台湾には2300万の人口があり、その最高指導者である総統と議会の代表者は国民が直接選出し、政府が実効支配している地域は台湾本島、澎湖、金門、馬祖に及んでいます。また、23カ国の国連加盟国と1カ国の国連オブザーバー国と正式な外交関係を維持しており、1933年12月26日に調印された「モンテビデオ国家権利義務条約」(Montevideo Convention on the Rights and Duties of States)に列挙されている国家の構成要件を完全に満たしています。加えて、台湾は20年来の発展を経て、すでに自由、民主、法治の制度をもった高度人権国家になっています。

2、中華人民共和国(中国)は、対外的に「台湾は中国の一部分である」と宣言していますが、これは台湾海峡両岸が分離し、お互いに隷属していないという現状事実と合致しません。実際には、中華人民共和国は1949年の建国以来、一日たりとも台湾を統治したことはなく、台湾住民から一銭の税金を徴収したこともありません。また外国人が台湾に入国する前には、台湾政府やその在外公館にビザを申請しなければならず、この手続きを中国の在外公館で行うことはできません。上記の点からも、「台湾は中国の一部である」という中国の主張は、事実と完全に相反しております。

3、1972年の日中共同声明では、「台湾は中国の一部である」という中国の主張に対して、日本政府は「理解し、尊重する」とは言っていますが、「認める」または「承認する」とは言っていません。2007年4月11日、麻生太郎外務大臣は国会で長島昭久衆議院議員の質疑に対し、「“理解と尊重”は重要な外交語彙である」と答えました。このことからも、日本政府が台湾を国家または政府として扱うことに法的な支障は何もなく、むしろ台日両国の互恵協力と長年の友好関係に鑑みれば、国家とみなすことこそが妥当だといえるでしょう。

Q2:台湾には国連の一員になる資格がないのでしょうか?

A2:台湾には国連の一員になる資格が十分あります。その理由は次の通りです。

1、台湾は民主的な政府を持つ主権独立の国家であり、国民は平和を愛し、かつ国連憲章に定める義務をはたす意志と能力を持っています。つまり、国連憲章第4条に定められた「国連会員になる資格」をきちんと備えています。

2、また、台湾は民主を尊び、人権を尊重する国家であり、目下世界で第16番目の貿易国、第17位の経済体であり、第2位のIT産業国でもあり、国連の所管業務に積極的に貢献する意志と能力を有しています。

3、「会員普遍化」は国連の一貫した主張であり、「国連憲章」の序文にも人類平等の理念が掲げられており、人口1万人未満の小さな国でも国連に加盟しています。2300万の人口を有する台湾は、国連加盟国の上位4分の1に入っており、面積でも国連加盟国の上位3分の2に入っています。この点からも、国連に加盟する資格が充分あるといえます。

Q3:どうして今年は正式会員、そして「台湾」名義での国連加盟を申請したのですか?

A3:

1、台湾は国際社会における重要な一員でありながら、中国の妨害により長年来国連のメンバーになれず、国連主導の反テロ、環境保全、麻薬撲滅、衛生防疫などの面における国際協力システムに参与することができていません。このことは、台湾の永続的な発展にきわめて不利な影響をもたらすだけでなく、国際社会にも大きな損失を与えます。相互依存度の高いグーロバル化の今日、台湾は国連の広範な協力体制に参画する必要性を痛感し、その権益を守り、相応の貢献をしたいと考えています。

2、台湾海峡両岸(台湾・中国)関係は近年緊張を続け、中国は台湾に武力行使を辞さないと公言しているだけでなく、台湾に向けて1000基を超えるミサイルを配置し、その上あらゆる手段を講じて台湾の国際社会における生存空間を封鎖し、世界各国および国際組織に「台湾は中国の一部分である」という事実と異なる主張を強要しています。こうした中国の態度は台湾海峡の現状維持に深刻な影響を与えるとともに、台湾の生存と安全をも脅かします。このような状況にあって、台湾はその永続的な発展を平和安全を確保するために、国際社会の平和と安全の確保を目的として作られた国連に加盟する強い必要があるのです。

3、台湾は過去14年間、国民の基本的権益を守るために、「尊厳に見合ってさえいれば、いかなる形でも国連に加盟する用意がある」と重ねて表明してきました。しかし、中国の理不尽な弾圧のもと、台湾の示した善意に前向きな反応が見られず、国連の総会では台湾の国連加盟問題が一度も真剣に議論されたことがありません。こうした経緯に対して台湾の住民は強い挫折感と憤懣を抑えきれず、70%以上の国民は政府に直接「台湾」名義で国連加盟を申請するよう要求しました。台湾政府は責任ある政府として、国民の感情と要望を真摯に受け止め、このたび「台湾」名義で正式会員としての加盟を申請するに至ったのです。

Q4:台湾の国連加盟の成功率はどのくらいだと予測していますか?

A4:

1、台湾の国連加盟は長期的に取り組まなければならない課題であると覚悟しています。たとえば、韓国と北朝鮮は、それぞれ1949年に国連加盟を申請しながら、それが受諾されたのは、42年後の1991年でした。我々は現今の国際情勢を十分理解しているため楽観視はしていませんが、それでも可能性があると信じています。

2、「台湾」名義で国連加盟を申請するのは、国民全体の意思表示の現れであり、国家の重要な施政目標であることを示しています。国際的には、「中華民国」よりも「台湾」の方が圧倒的に知名度が高く、また実質的に統治している「台湾」の名前を冠することで、国際社会に台湾加盟の正当性を訴えるのに適しています。また、従来の「中華民国」では、名称的にも中国と紛らわしく、以前中国の代表権を「中華人民共和国」と争った歴史があるため誤解を招きやすい、という理由もあります。我々は今年重要な第一歩を踏み出した以上、今後も努力を重ね、目的達成まで宿願を堅持する所存です。

Q5:どうして日本は台湾の国連加盟を支持すべきなのでしょうか?

A5:

1、台日両国とも平和支持、民主追求、人権尊重の国であり、両国間には長年にわたって共通価値観に基づいた緊密なパートナーシップがあります。自由民主台湾の繁栄と成長は、日本および東北アジア地域全体の利益に絶対的に合致しています。

2、国連は諸国に尊敬される国際組織であり、台湾海峡両岸の対等・平和的な対話の場にもなります。もし台湾が国連に加盟できれば、台湾海峡の緊張関係を有効的に緩和させることができます。

3、現在の台湾は、国際社会において、まるで身体の小さな優等生が腕力の強い学生から長い間「いじめ」を受けているような立場にあります。最近、日本では学校の「いじめ」現象が注目され、防止策が求められています。アジア地域の主要国家および台湾の近隣国家としての日本は、「いじめ防止」と同様、その道義を重んじる観点から、台湾のことを支持するよう、強く期待されています。

4、日本の国益から見ると、台湾が中国に併合される「現状変更」と、台湾が独立国家として機能している「現状を維持すること」と、どちらがいいでしょうか。地理的に至近距離にある日本もこの問題を真剣に考えるべきです。その答えが後者であるならば、必然的に台湾の国連加盟を支持するという結論に行き着くことでしょう。

Q6:「台湾」名義での国連加盟申請は、国名や現状の変更となりますか?

A6:

1、台湾の憲法上、国名は「中華民国」のままで変更されていません。しかしながら、国際社会では「中華民国」と「中華人民共和国」を区別できる人がほとんどいない一方、「台湾」という名称は国際社会で普遍的に受け入れられています。「台湾」名義での国連加盟申請は、このような国際的な認知度および中華人民共和国との差別化を考慮してのことであり、正式国名や台湾海峡の現状を変更することを意味しません。

2、多くの国家は、中国の圧力を受けるため、「中華民国」という台湾の正式名称を承認することができません。台湾は実務的に国際社会に参加するため、その都度柔軟に名称を使ってきました。例えば、世界貿易機構(WHO)での名称は「台澎金馬関税領域」であり、オリンピックでの名称は「中華台北」であります。こうした国際組織への加盟と台湾海峡の現状変更は全く結びついていないことは周知の通りであり、現に国際社会からの批判も出ていません。

3、国連の実務運営では、スイスやマケドニアなどの国家がその正式国名とは異なる名称で国連に加盟しています。このため、台湾も正式名称である「中華民国」と異なる「台湾」という名義で参加することに問題はありません。

Q7:国連事務局は台湾の国連加盟申請を受理しませんでした。台湾は加盟案を引続き推進していきますか?

A7:

1、台湾の国連加盟申請案は台湾の死活、安保と継続発展に関わるので、一時的な挫折で畏縮することはありません。台湾は引続き主要国家と話し合い、適切な方法をとり、国連に公正・公平で加盟申請案を討論・審議することを推進していきます。

2、国連憲章によると、新規加盟を審議できるのは安全保障理事会と国連総会だけであり、国連事務局には申請を拒否する権限がありません。今回の申請を、国連事務局が単独判断で受理しなかったことは明らかな越権行為です。これに対して台湾政府は厳正に抗議し、多くの主要国家も台湾政府に同調しています。

3、国連事務局は、「国連総会第2758号決議によって、台湾が中華人民共和国の一部であるとされた」という理由で台湾の申請を拒否しましたが、国連総会第2758号決議は「台湾は中国の一部である」とは述べていません。したがって、中国には国連において台湾2300万国民の権益を代表する権利がありません。長年来、国連は総会第2758号決議を引用して政治的な人種隔離(political apartheid)のように台湾を排除しておりますが、これは必ず匡正しなければなりません。

Q8:台湾の国連加盟および国民投票は、中国によって台湾独立の重要ステップとみなされ、「反分裂法」に反すると解釈される可能性があります。台湾の見方はどうですか?

A8:

1、台湾の十数年来の民主化プロセスの中でも、各段階において中国の「台湾独立」批判を浴びました。1992年の国会議員改選、1996年の総統直接選挙、1998年の台湾省政府縮小化など、全くの国内的行政変革に対しても、中国は「台湾独立」と批判してきました。その批判が的外れであることは明らかです。これらの過程において中国の批判を恐れ、恫喝に屈していたら、今の民主化の成果はありませんでした。

2、台湾国民の7割は、台湾の国連加盟を支持しています。民主主義国家である台湾政府は、この民意を受けて、国連加盟の実現に向けて最大限努力する義務を負っています。国連加盟国民投票に関しても、与野党ともに推進している状況です。この運動は台湾国民が民主的原則と法的手続きによって重大政策を討論し、共通認識を求めることを意味します。

3、全ては「法的台湾独立」と関係ありません。台湾政府は北京当局の台湾民意無視や理不尽な理由付けのやり方を大変遺憾に思います。全ての民主国家が台湾国民の民主・平和手段による重大政策決定の方法を理解し支持してくださるよう期待しています。