200606201945年の日本敗戦直後、自立へと向かう台湾人の希望は無惨に踏みにじられた。運命の島の悲劇はどのようにして準備され、台湾人が築いた文明社会と豊かな資源・資産は、どのように破壊され収奪されていったのか。「二二八事件」の全貌がここに記録された。本書は、「二二八事件」60周年(2007年)を前に発行された犠牲者への「鎮魂の書」でもある。

アメリカ政府内部の葛藤と、巧みにそれを利用する蒋介石と宋美齢の生き残り策、取り残された日本人、一方で大陸を着実に支配しつつあった中国共産党-。歴史のダイナミズムとパワーポリティクスの渦中、歴史の闇に消えた無念の抵抗者たちの群像が鮮やかに描かれる。

著者ジョージ・カーは、戦前は旧制台北高校、台北高商、台北一中教師、戦中は米国海軍将校、戦後は駐台北副領事として活躍した。そこでの見聞の一切を記録したカーはそれを『FORMOSA BETRAYED』として発行した(1965年)。カーの遺志を継いだ台北高校同窓の蕭成美(シアトル)と川平朝清(東京)の二人がこれを翻訳・監修し、ついに本書が完成した。

『裏切られた台湾』ジョージ・H. カー
同時代社 (2006/06)
ISBN: 4886835686
¥4,320