【東京】台湾の李登輝前総統来日 観光で3年8カ月ぶり 中国、政治活動を警戒

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台湾の李登輝前総統(81)は家族との観光旅行のため27日夜、名古屋空港に到着した。来年1月2日までの滞在中、名古屋や金沢のほか、学生時代を過ごした京都を訪問し、恩師などゆかりのある人と会う。李氏の来日は、治療目的で大阪、岡山を訪問した2001年4月以来、3年8ヶ月ぶり。

名古屋空港では在日台湾同郷会などの呼び掛けで、在日華僑や留学生など多数が歓迎。

中国政府は「台湾独立派」の李氏訪日に強く反発し、日本で政治活動を行うことを警戒しており、李氏の日本での言動を注視しながら、訪問を受け入れた日本に報復措置を取るかどうか検討するとみられる。

李氏は京都帝国大(現京大)農学部に学び、学徒動員で陸軍に入隊後、名古屋で終戦を迎えた。名古屋訪問は戦後初めてで、京都は30数年ぶり。京都では京大時代の恩師と再会予定。新幹線にも初めて乗車する。曽文恵夫人(78)、孫娘(23)のほか主治医、警護員が同行している。

小泉純一郎首相の靖国神社参拝などにより日中関係がぎくしゃくする中、李氏が観光目的に逸脱する行動を取り、関係がさらに悪化するのを避けたい日本政府は、自民党議員に李氏との接触自粛を求め、報道各社にも取材自粛を要求している。

【NNA】台湾の李登輝前総統、名古屋に到着

日本政府から観光目的の入国査証(ビザ)を発給された李登輝前総統(81)は27日午後6時過ぎ、名古屋国際空港に到着した。空港では大勢の在日台湾人や日本人が日の丸や緑と白の「台湾旗」を振って歓迎。李氏は何度も帽子を振ってあいさつし、乗用車に乗り込んで同空港を後にした。

李氏は今回、妻の曽文恵さん(78)、孫娘の李坤儀さん(23)、友人の彭栄次氏夫妻、主治医らを伴って入国。訪日は岡山県倉敷市の病院で心臓の治療を受けた2001年4月以来、3年8ヶ月ぶりで、家族旅行としての訪日は初めてだ。

日本滞在は7日間を予定している。明日28日は名古屋城などを観光。29日は金沢を観光し和倉温泉に投宿する。30日に京都入りし、翌31日に母校の京都大学を訪問する。元旦の1月1日は琵琶湖を訪れ、2日は午前中に清水寺を観光し、夕方関西国際空港発の便で台湾に戻る。

【時事通信①】台湾の李登輝前総統が来日

台湾の李登輝前総統は27日夜、台北発の日本アジア航空機で名古屋空港に到着した。李氏の来日は2001年4月に心臓疾患の治療で訪れて以来、3年8ヶ月ぶり。

李氏は今回の来日の目的について「私的な観光旅行」と位置付けている。しかし、中国政府は同氏を「台湾独立勢力の代表人物」と位置付けており、日本政府のビザ発給に強い不満を表明している。

【読売】台湾の李前総統が名古屋空港に到着

台湾の李登輝・前総統(81)が27日夜、台北発の日本アジア航空機で名古屋空港に到着した。李氏の来日は、2001年4月に心臓病治療のため、岡山県倉敷市などを訪れて以来。

今回は、名古屋、金沢、京都方面の観光が目的としており、曽文恵夫人(78)らが同行している。李氏は名古屋空港到着後、車で宿泊先の名古屋市内のホテルに入った。

当初、9月下旬の来日を希望していたが、政府がビザ発給を保留したため、今月にずれ込んだ。中国は李氏の来日について、ビザ発給の撤回を要求するなど反発し、日中関係に微妙な影響を及ぼすものとみられる。

【共同通信①】台湾の李登輝前総統来日 観光で3年8ヶ月ぶり

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名古屋空港に到着した台湾の李登輝前総統=27日午後7時

台湾の李登輝前総統(81)は家族との観光旅行のため27日夜、名古屋空港に到着した。来年1月2日までの滞在中、名古屋や金沢のほか、学生時代を過ごした京都を訪問し、恩師などゆかりのある人と会う。李氏の来日は、治療目的で大阪、岡山を訪問した2001年4月以来、3年8ヶ月ぶり。

名古屋空港では在日台湾同郷会などの呼び掛けで、在日華僑や留学生など多数が歓迎。

中国政府は「台湾独立派」の李氏訪日に強く反発し、日本で政治活動を行うことを警戒しており、李氏の日本での言動を注視しながら、訪問を受け入れた日本に報復措置を取るかどうか検討するとみられる。

李氏は京都帝国大(現京大)農学部に学び、学徒動員で陸軍に入隊後、名古屋で終戦を迎えた。名古屋訪問は戦後初めてで、京都は30数年ぶり。京都では京大時代の恩師と再会予定。新幹線にも初めて乗車する。

【毎日①】李登輝前総統:観光旅行で名古屋空港に到着 金沢、京都へ

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名古屋空港に到着し、歓迎の声に笑顔で手を振る台湾の李登輝前総統=名古屋空港で27日午後7時

台湾の李登輝前総統(81)は27日夜、観光旅行のため家族らとともに、名古屋空港に到着した。李氏の来日は岡山県倉敷市で心臓病の治療を受けた01年4月以来。名古屋、金沢、和倉温泉(石川県)、京都、琵琶湖(滋賀県)を訪れ、知人・友人らとの会合も計画されている。1月2日に関西空港から台湾に戻る。中国は日本政府が来日を認めたことに反発し、滞在中の政治活動を許さないように求めている。李氏の行動を注視し、対日報復措置を取るかどうか判断するとみられる。

李氏には曽文恵夫人(78)や長男(故人)の嫁、孫娘、主治医らが同行している。査証(ビザ)は1回のみで、有効期限は15日間。李氏は記者会見や講演など「政治的活動」と受け取られる可能性のある活動を一切行わない、と日本政府に約束している。

李氏は9月下旬にも訪日を日本側に打診したが、政府は12月11日投票の立法院選挙(総選挙)の選挙活動に「利用される可能性がある」として発給を見送った。同選挙も終了したことで「断る理由はない」(小泉純一郎首相)と判断、「観光目的の家族旅行」として、21日に李氏にビザを発給した。

前回来日時は持病の心臓病治療という人道的配慮があったが、今回は完全な観光目的。政府は中国の一層の反発を招かないため、町村信孝外相が日本滞在中の李氏の元に、自民党議員が面会に行かないよう要請するなど神経をとがらせている。

【毎日②】李登輝前総統:中国 日本滞在中の動向、見極めて対応

中国は台湾の李登輝前総統の訪日について、日本政府の査証(ビザ)発給を「誤った決定」と非難してはいるものの、滞在中の李氏の動向を慎重に見極めた上で、対応を決める方針だ。小泉純一郎首相の靖国神社参拝などでギクシャクした日中関係が続く中、これ以上の関係悪化を避けたい中国政府の思惑が背景にあるとみられる。

ただし、中国の国会に当たる全国人民代表大会常務委員会で、台湾独立阻止の法的根拠となる「反国家分裂法」の審議が進むなど台湾独立の動きに対しては強硬姿勢が強まっている。李氏の滞在中の言動が「一私人の観光旅行」を逸脱したと判断した場合には、何らかの報復措置を含めた対応を検討する可能性がある。

中国系香港紙「文匯報」によると、中国で27日、尖閣諸島の写真を使った絵はがきが初めて発売された。中国の民間団体が李氏訪日に対する日本政府への「抗議活動の一環」としてこの絵はがき計5000枚を全国で販売するという。

【毎日③】李登輝前総統:政府 観光旅行で問題ない、中国への配慮も

政府は27日、台湾の李登輝前総統が家族とともに来日したことについて「純粋な観光旅行目的」(竹内行夫外務事務次官)との位置付けから問題はないとの立場を改めて示した。16日の査証(ビザ)発給決定以来、中国は批判を繰り返しているが、政府内には「李氏の影響力は薄れており、前回来日(01年4月)ほど問題化しない」との読みがあった。ただ、李氏の滞在中(来年1月2日まで)の言動によっては中国が反発を強めるのは必至で、政府は神経をとがらせている。

細田博之官房長官は27日の記者会見で、李氏来日が日中関係に与える影響を問われ、「特に考えていない」と受け流した。政府としては「一私人」であることを強調し、政治的な影響を極小化させる方針だ。

ビザ発給決定に対し、中国側は16日、武大偉外務次官が阿南惟茂駐中国大使を呼び、決定を取り消すよう求めた。政府は発給方針は変えなかったものの、細田長官が異例の報道自粛を求めたり、町村信孝外相が自民党議員に対して李氏と面会しないように呼びかけるなど、中国に対する配慮も示してきた。

中国側は21日にビザが発給された後は、滞日中の政治活動を許可しないように求めるにとどめるなど微妙な変化も見せている。中国政府内にも対日関係の悪化を懸念する考えがあり、李氏の来日自体は黙認することにしたとみられる。

【毎日④】李登輝前総統:中国の訪日抗議 「おかしい」と強く反発

李登輝前台湾総統は27日、名古屋に向かう航空機内で毎日新聞などの取材に応じ、中国が李氏訪日に抗議していることについて「そのことは政治的になるので、あまり話したくない」としながらも「台湾は中国の領土ではない。それ(抗議)はおかしい」と強く反発した。李氏が今回の訪日について日本メディアの取材に答えたのは初めて。

李氏はさらに、日本政府が「観光目的」で査証(ビザ)を発給したことについて、01年4月の前回訪日時と比較して「医療のための訪日なら、(行動が)限定的になる。観光目的という名義は、よい方法だ」と話し、今後も、日本を訪れたい意向を明らかにした。

李氏は1943年、日本に渡り京都帝大で農林経済学を学んだ。李氏は1960年代に学術会議に出席して以来、30数年ぶりになる京都訪問について「98歳になる恩師に再会するのが楽しみ。『哲学の道』を歩きたい」と希望を述べた。

また、学徒動員で、陸軍高射砲部隊に配属された後、少尉見習として終戦を迎えた名古屋について「名古屋で(終戦の)玉音放送を聞いた。訪問はそれ以来、約60年ぶりだ。(軍隊時代に見た)名古屋城周辺がどうなっているか見てみたい」と声を弾ませた。

李氏は戦前の台湾でかんがいダム建設に尽力した金沢出身の技術者、故八田與一氏の功績を讃えてきた。また、近著「『武士道』解題」の中で、石川県出身の西田幾太郎と鈴木大拙の著書を、旧制中学時代から愛読したことを明らかにしている。李氏は機内で「金沢には独自の文化がある」などと述べた。

【日経】李登輝前総統が来日――金沢など観光、3年8ヶ月ぶり

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名古屋空港に到着し、歓迎の声に笑顔で手を振る台湾の李登輝前総統=名古屋空港で27日午後7時

台湾の李登輝前総統(81)が27日午後7時前、日本観光のため名古屋空港に到着した。李氏の来日は岡山県倉敷市で心臓病の治療を受けた2001年4月以来、3年8カ月ぶり。

名古屋空港では台湾出身の在日華僑ら数百人が李氏の到着を出迎えた。李氏は曽文恵夫人(78)ら家族とともに名古屋市、金沢市、和倉温泉(石川県)、京都市、琵琶湖(滋賀県)を観光、1月2日に関西国際空港から台湾に戻る予定。

李氏を「台湾独立勢力の代表的人物」と批判する中国政府は日本が21日に李氏に査証(ビザ)を発給したことに強く反発している。

李氏は日本に向かう機内で中国の批判について記者団に「台湾は中国の領土ではないから、そういうことを言うのはおかしい」と反論。観光での来日に関し「医療目的に限られた(前回の)訪日より面白い」と語った。

戦前に京都帝国大学(現京大)で農業経済学を学んだ李氏は学徒動員で旧日本軍に入隊し、名古屋で終戦を迎えた。名古屋訪問は約59年ぶり。京都は1960年代後半に世界銀行の農業関係の会議に出席して以来で「青春を過ごした地を巡る」(李氏側近)。

【朝日】台湾・李登輝前総統が3年半ぶり来日 政府「私人の旅行」

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来日し、手を振って出迎えの人たちにあいさつする李登輝前総統夫妻 =27日午後7時すぎ、名古屋空港で

台湾の李登輝(リー・トンホイ)前総統は27日夜、台北からの航空便で名古屋に到着した。日本国内で年末年始を過ごし、1月2日に台湾に帰る予定。李氏の来日は、医療目的で日本を訪れた01年4月以来。日本政府は今回、「私人の観光旅行」として入国を認めたが、中国当局は「台湾独立を目指す政治活動の一環」と非難している。

李氏には曽文恵夫人(78)と孫娘(23)、主治医らが同行している。28日から名古屋、金沢、京都などを回る予定。

太平洋戦争の終戦を旧日本陸軍の見習士官として名古屋で迎えた李氏は、当時以来初めての名古屋訪問。また、旧制の京都帝大農学部で学んだ李氏にとって京都訪問は三十数年ぶりという。

李氏は日本に向かう機内で、日・台の報道陣に対し、日本が査証(ビザ)を発給したことについて「昔と違って状況が分かる人が(日本政府に)増えた。だが、日本を訪れるのは本当は当たり前のことだ」と語った。

中国の王毅(ワン・イー)駐日大使が李氏について「戦争メーカーになるかもしれない」と言及したことについては、「中国は自分が強いと思って言いたい放題だ」と不快感を示した。

【共同通信②】出迎えに笑顔で手を振る李氏、思い出の地に到着

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名古屋空港に到着した台湾の李登輝前総統を旗を振って出迎える人たち=27日夜(共同)

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名古屋空港に到着し、笑顔で手を振る台湾の李登輝前総統=27日夕(共同)

27日夜、名古屋空港(愛知県豊山町)に到着した台湾の李登輝前総統(81)は、出迎えの人だかりに気付くと、帽子を取って大きく手を振った。台湾出身者ら約300人が空港施設脇の沿道に陣取り、「李登輝さん、ようこそ日本へ!」との横断幕を掲げた。

李氏にとって、名古屋は第2次大戦の終戦を迎えた思い出の地。スーツに黒いコート姿で、空港施設の建物を出た際、台湾の青天白日満地紅旗や日の丸の小旗を振る人々に笑顔を見せた。

車に乗り込み、窓を開けて沿道の人に手を振る李氏に、東京から駆け付けた台湾出身のエステティシャン(46)は「李さんに会えてうれしい」と感激の様子。

李氏の到着に備えて、愛知県警は延べ約250人で空港周辺などを警戒。今回の訪日は詳しい行動予定が公になっていないこともあり「現職でない外国要人では異例」(警備部)の手厚い態勢を敷いた。

一方機内では、李氏は前から2列目の席に曽文恵夫人(78)と座り、リラックスした様子。日本人記者を見掛けると「あなたも一緒に日本に行くのか」と逆に質問し、あいさつにきた客室乗務員には日本語で「ありがとう、ありがとう」と応え、日本人乗客との記念撮影にも応じるなど終始、上機嫌だった。

【時事通信②】対抗措置、言動見て対応=李前総統訪日で中国外務省

中国外務省の劉建超副報道局長は27日、台湾の李登輝前総統が同日訪日したことに強く抗議するとともに「中国側は事態の推移を注視し、さらに対応する権利を保留する」と述べ、李前総統の言動を見ながら、日本側への対抗措置などに踏み切るかどうかを検討する姿勢を示した。

【時事通信③】

台湾の李登輝前総統は27日夜、台北発の日本アジア航空機で名古屋空港に到着した。李氏の来日は2001年4月に心臓疾患の治療で訪れて以来、3年8ヶ月ぶり。同空港では、「日本李登輝友の会」のメンバーや在日台湾人の支持者約200人が出迎えた。

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