昨年に続き、やはり長崎市は原爆平和祈念式典において台湾を冷遇した。
駐日台湾大使に相当する李逸洋代表が指定された席は、昨年と同じ国際非政府組織(NGO)エリアの席だった。昨年の平和祈念式典以降、長崎市に適切な対応を求め、出席の意向を示していた李逸洋代表は欠席して抗議の意を表明し、領事に相当する格下の陳銘俊・台北駐福岡経済文化弁事処処長を出席させた。
また、台北駐日経済文化代表処は昨日「長崎市は台湾の国家地位をわざわざ否定し、台湾の主権と尊厳を完全に無視した」というプレスリリースを発表した。
プレスリリースには、台湾を代表して台湾出身者をはじめとする犠牲者を慰霊するために出席しようとしていた李逸洋代表の無念と長崎市に対する憤怒があらわに出ている。日本に友好的な台湾が一自治体とは言え、このようなプレスリリースを発表するのは異例中の異例のことだ。その全文を下記にご紹介したい。
長崎市の対応は、2012年3月11日に行われた東日本大震災の1周年追悼式を思い起こさせる。野田政権は、台湾を代表して参列した台北駐日経済文化代表処の羅坤燦・副代表を来賓扱いせず、指名献花からもはずして冷遇した。中国に忖度した野田政権の大失態だった。
しかし、安倍晋三政権下で開催した2013年3月11日の東日本大震災2周年追悼式では台湾の待遇を見直し、前年の一般席から外交使節団向けの来賓席とし、国名などを読み上げる指名献花に加えた。これに対して中国は「追悼式で台湾の関係者を外交使節や国際機構と同等に扱った」として出席しなかった。
長崎市の平和祈念式典に台湾が参加した昨年、中国は参加しなかった。今年もまた参加しなかった。中国は2年続けて広島と長崎を欠席した。中国が欠席した理由は東日本大震災のときと同じだろう。
ここに中国の本性が表れている。中国は犠牲者の慰霊よりも国家としてのメンツが大事なのだ。ましてや中国は核兵器開発計画を拡張しており、長崎市の願う核廃絶と真逆の立場を取っている。それでも長崎市は中国に忖度し、台湾の国際的地位を貶める措置を取り続けるのだろうか。
長崎市は迷妄から覚め、広島市と同じく、国連に代表部があるすべての国もしくは駐日外国公館がある国、参列の意思が確認できた台湾などの国・地域と欧州連合に通知文を送り、台湾代表団には外交使節団のエリアに席を用意すべきだ。
長崎市は広島市ができることをなぜできないのだ。日本政府にできてなぜ長崎市にできないのだ。
長崎原爆平和祈念式典に関する台湾駐日代表処プレスリリース
【台北駐日経済文化代表処フェイスブック:2026年8月9日】
李逸洋・駐日代表、並びに蔡明耀・駐日副代表、周学祐・駐日副代表は8月9日に開催された長崎原爆平和祈念式典を欠席した。これは、長崎市が台湾代表団を外交団エリア外にあえて配置することにより、台湾の国家としての尊厳と地位を傷つけたためであり、陳銘俊・駐福岡弁事処処長が代理で参列した。
李逸洋・駐日代表は、台湾が平和を希求し、民主主義を愛することは世界中に広く知られていると強調し、81年前の広島と長崎の原爆投下によって、多くの台湾人も犠牲となり、台湾は第二次世界大戦の悲劇を深く受け止めており、平和祈念式典への出席を通して平和を希求する決意を示し、民主主義国家と共に取り組んでいくことを望んでいると述べた。
李代表は、長崎市が中国に迎合する態度であることが残念であると指摘し、昨年台湾は平和式典に参列して世界に平和への決意を示す初めての機会を大切にするため、屈辱的な扱いにもかかわらず出席したが、式典後すぐに不当な扱いに対する抗議声明を発表していたことに言及した。
さらに李代表は、この一年間、台湾に理解のあるベテラン国会議員を通して長崎市に繰り返し申し入れを行い、福岡弁事処も地方議員や市民団体を通して働きかけを行ってきたが、残念ながら長崎市は依然として台湾に適切な待遇を与えなかったため、それを受けて今回の台湾の参列者も格下げせざるを得なかったと説明した。
李代表は、式典の座席配置について、長崎市は台湾の国家地位をわざわざ否定し、台湾の主権と尊厳を完全に無視したとの認識を示し、台湾が長年にわたり日本におけるさまざまな中央または地方レベルの行事に参加してきたなかでも前例のない出来事であることを強調した。
李代表は、長崎市のその誤った決定が、中国が台湾に仕掛ける法律戦、すなわち「台湾は国ではなく、主権もなく、中国の一部である」という主張の手先となっていることに気付いていないと指摘した。
李代表は、「台湾は主権独立国家であり、中国(中華人民共和国)と互いに隷属しない。中国は一日たりとも台湾を統治したことはなく、台湾の中華民国は中国よりも先に建国されており、台湾が中国の一部であったことは一度もない」と改めて表明し、長崎市が中国の意向に屈し、台湾の国家地位を矮小化し、台湾の尊厳を侮辱したことに対して厳正に抗議し、非難した。
また、李代表は、TSMC(台積電)熊本工場への投資が九州地方に10年間で23兆円の経済効果をもたらし、長崎市もその恩恵を受けるほか、東日本大震災、能登地震に続いて台湾からの寄付額が世界トップとなり、今回の熊本地震でも各地で積極的に寄付や支援活動が展開されております。さらに今年上半期に日本を訪問した台湾人旅行者数は延べ397万人に達し、国別ランキングで第2位、消費額では7523億円で首位となったことを説明した。
そのうえで李代表は、台日間の友情の絆は深く、これまで互いに友好的につきあってきたと強調し、長崎市に対して台湾を威圧する中国に迎合すべきではないと呼びかけた。
李代表は、台湾の人口は約2300万人で世界57位であるものの、株式時価総額は米国、中国、日本に次ぐ世界第4位であり、現在ハイテク産業のハードウェア製造における世界で最も重要な生産基地となっており、さらに今年上半期の経済成長率は13.72%と目覚ましい成果を上げていることに言及し、台湾の存在と価値を世界は無視することはできないとの認識を示した。
李代表は、いま核兵器開発計画を拡張しているのはまさに中国であり、世界平和の脅威となっていることや、インド太平洋地域で軍事演習を頻繁に実施し、紛争を引き起こす地域の平和の最大の破壊者となっていると指摘し、長崎平和祈念式典は「核兵器廃絶」と「恒久平和実現」を訴えているが、これらの2つの要望は、まさに中国に言わなければならず、長崎市が中国の意向を受けて、平和を追求し日本にも友好的な台湾を貶めることは、極めて遺憾かつ失望を感じると表明した。
